外国人のお金事情 預金・投資・年金…世界と日本はどう違う?

マネーケア

「貯蓄から投資へ」の呼びかけから約20年。その頃から比べると、老後資金を自分で準備しなくては、と感じる人が増えてきました。しかし一方では、投資は目減りするのが怖くて、あと一歩が踏み出せないという人も多いものです。投資の状況は外国にくらべると、日本は遅れていると言われることもあります。
今回は、この20年を振り返り、日本人と外国人のお金事情を比較して、人生100年時代において、これからの貯金、投資、年金などのお金とどう付き合っていくべきか考えてみましょう。

個人資産に占める預金の割合の違い

お金を貯めるといえば、日本人が連想するのは、銀行の預金口座に残高が増えている状態ではないでしょうか。
その預金について日本とアメリカ、ユーロ圏を比較してみましょう。日本銀行の調べ(「資金循環の日米欧比較」2019年)によれば、家計における金融資産のうち現預金の占める割合は、日本が53.3%、米国が12.9%、ユーロ圏が34.0%になっており、日本は金融資産の半分以上が現預金だという結果が出ています(2019年3月末現在)。ここから日本人は、諸外国にくらべて「預金好き」といえるでしょう。


日本銀行調査統計局/2019年8月「資金循環の日米欧比較」より引用

日本人が「預金好き」になったのには、理由があります。
第2次世界大戦後の日本は、戦争により荒廃した都市が復興するためにはお金が必要でした。ですから、銀行にお金が集まる政策を打ち出しました。たとえば、タンス預金は利息が付きませんが、銀行に預ければそれ相応の利息がつき、定期預金なら普通預金以上の高い利息が望めます。高い金利ならば、誰でも預金をしようという気になります。

このように国民のお金を銀行に預けてもらうことにより、さらに銀行は企業に利率を上乗せして貸し出します。高度経済成長期には国の政策によって、高速道路や新幹線などのインフラの整備も進みました。国民が預金をすることによって好循環をもたらした時代だったといえるでしょう。日本人は、この過去の認識がアップデートできないままではないでしょうか。

個人投資の割合の違い

次に、先ほどと同じ「資金循環の日米欧比較」から、現預金以外の投資について見てみましょう。
「投資信託・債務証券・株式等」と「保険・年金・定型保険」の2つのグループに分けて考えます。
まず「保険・年金・定型保険」の比率については、日米欧の国ではそれほど大きな差は見られません

続いて「投資信託・債務保証・株式等」についてです。いわゆる「投資」と呼ばれる分野では、日本の投資に関する金融資産の割合を1とすると、米国は約3倍強、ユーロ圏では約2倍と大きな差が生じています。
日本では個人金融資産の半分が現預金であるのに対して、米国の場合には半分が「投資信託・債務保証・株式等」になっています。

投資信託・債務証券・株式等

日本:15.2%、米国:52.8%、ユーロ圏:29.9%

保険・年金・定型保険

日本:28.6%、米国:31.7%、ユーロ圏:34.0%

この金融資産の比率については、長い期間になると資産額に大きな違いが生じてきます。
金融庁が発表した「人生100年時代における資産形成」(2019年4月)によれば、1998年からの20年の家計金融資産の増え方を日本と米国、英国と比較すると、
日本:1.4倍、米国:2.7倍、英国:2.3倍
になっています。


金融庁「人生100年時代における資産形成」より引用

この金融資産の伸び方の違いには、投資の運用益による違いも大きく影響していると考えられます。資産形成を効率よく行うには、預金ばかりに偏らず、投資信託や株式などの比率を高めておく必要性を感じることができるでしょう。

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池田 幸代

株式会社ブリエ 代表取締役 証券会社に勤務後、結婚。長年の土地問題を解決したいという思いから、宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー(AFP)を取得。不...

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