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株価は不動産価格に影響する?

2024年に入り株式市況が賑わっています。2024年2月には日経平均株価がバブル期につけた高値を更新し、連日数百円上昇するなど大きく変動しています。3月4日には日経平均株価が4万円を突破しました。

株価は経済や社会の動きを反映して動き、将来の材料を先取りして株価が決まる特徴があります。日経平均株価が変動することで、さまざまな業界に影響がおよびます。

それでは、不動産価格にはどのような影響があるのでしょうか。株価との関係性がわかれば、今後の予測が立てやすくなります。

今回は、株価と不動産価格の関係性を知り、今後の不動産価格の動向を押さえておきましょう。

株価と不動産価格の相関性は高い

日経平均株価不動産価格相関性が高いといわれています。そこで、国土交通省が毎月発表している不動産価格指数 と日経平均株価をもとに相関関係を見ていきましょう。

不動産価格指数とは、不動産の取引価格をもとに、不動産価格の動向を指数化したものです。2010年の平均値を100として基準化しています。用途別に住宅は戸建て住宅とマンション、商業用不動産に分けられています。ここでは2008年4月から2023年11月までの不動産価格指数と日経平均株価の月末終値を用いています。

住宅では、戸建て住宅とマンションがありますが、戸建て住宅は地域の需要と供給のバランスが優先されるため、戸建て住宅の価格指数の変動は緩やかです。

<日経平均株価と戸建て住宅価格指数>

各データをもとに筆者作成

一方、マンション価格指数は日経平均株価に連動していることがわかります。マンションは投資用として選ばれる機会が多く、流動性もそれに応じて高くなっています。特に富裕層の相続税対策や外国人投資家の購入などは、話題に上がることも多いものです。そうした背景もあって、より不動産価格指数の変動幅が戸建て住宅より大きくなっています。

<日経平均株価とマンション価格指数>

各データをもとに筆者作成

日経平均株価と不動産価格指数の戸建て住宅とマンションの価格を比較すると、マンションの方がより強い相関性があるといえます。ここでは日本全国で比較しましたが、地域別の不動産価格指数もあり、地域別で値動きも異なります。

また日経平均株価と東証REIT指数の相関関係も見ておきましょう。東証REIT指数とは、東京証券取引所に上場している不動産投資信託(REIT)全銘柄を対象とした指数です。

2003年3月末の時価総額を1000として指数化しています。

<日経平均株価と東証REIT指数>

各データをもとに筆者作成

このように全不動産を対象にする東証REIT指数においても、日経平均株価に連動しています。株価と不動産価格には相関性が高いことがよくわかります。

しかし、価格においては株価が数秒で変化するのに対し、不動産の売買は売却を決めてから契約成立までにかなりの時間を要します。そのため株価より不動産価格は遅れて動き、一般的に株価の影響は、半年後に遅行するといわれています

日経平均株価が好調な要因

日経平均株価は、ご承知のように2024年1月以降、急上昇しています。

日経平均株価が好調な要因はいくつかあげられます。

米国株が上昇している

生成AI関係で半導体関連企業の業績が予想以上によいという発表があり、米国株が上昇しています。その米国相場の好調な流れを受けて、日本でも半導体銘柄やハイテク株を中心に値上がりしています。

円安

2022年のウクライナ侵攻以後、食料や資源を中心に世界的なインフレが続いています。世界の国々では急激なインフレに見舞われたため、利上げを行ってインフレを抑制する政策を打ち出しました。一方、日銀は金融緩和を維持したままです。米国のFRBは金利を引き上げ、日本は利上げを行わないため日米間の金利差が開き、金利の高い米国に資金が流れ円安が加速しました。結果的に日本株に割安感が生まれ、海外からの投資が多くなったのです。

また円安は、特に海外で売買を行う製造業にとっては、ドルベースで決済を行うので、為替によって企業業績がよくなるという恩恵を受けています。

金融緩和

日銀は世界でも珍しい金融緩和政策を続けています。しかし、いつマイナス金利政策を解除して、金利のある世界に移行するのか注目を集めています。日銀は「マイナス金利政策を解除しても当面緩和金融環境は維持していく」と発言しており、どんどん利上げしていくような急激な政策変更がないことを示しました。市場と対話しながらていねいに対応する日銀の考えは、相場関係者に安心感を与えています。

インフレ

日本でも食料品やサービスを中心に値上げが行われて、物価が上昇しています。しかし、賃金の上昇率より物価の上昇率が高いため、生活にゆとりは感じられません。日銀は2%目標の物価安定を掲げています。これは毎年2%くらい物価が上昇し、景気は順調で、企業業績も賃金も上がる好循環を目指したものです。日銀は2%の物価目標が見通せる確度が高まってきているとしています。日銀がいうところの「よいインフレ」が定着すれば、日本経済は長期低迷から抜け出し株価も上昇するでしょう。

外国投資家の買い

中国では不動産バブルがはじけて、中国での不動産投資が難しくなりました。そこで、中国では中国株を売って日本株を買う動きが強まったため、上海市場で日経ETFの売買が一時停止になる場面もありました。また中国不動産の投資資金も運用先を求めて、東京市場に流入しています。さらに、2024年に入って、海外投資家の株式の現物買い越しが増え、アベノミクス初期並みの水準になっています。東京証券取引所では、上場会社に資本効率や株価を意識した改善を迫っています。世界的に見れば日本株は割安で、これからの日本株に期待が集まっています。

不動産価格の上昇は、複数の要因が組み合わさったものです。もっとも不動産価格に影響があるのは、金融政策でしょう。今後日銀は金融緩和を維持するとしているため、急激な金利上昇はないと考えられます。

しかし、金利上昇がなくても、すでに円安による建築資材や設備機器の値上がりで建築費が上昇しています。またコロナの収束やインバウンドの回復で、経済状況も上向きになってきて、建築業界の人手不足による人件費の増加も目立ちます。そのため、新築マンションの供給数が減少し、既存のマンション価格が値上がりする状況も見受けられます。

不動産価格の上昇要因は、株価の上昇要因ととても似ています。株価の変動から遅れて不動産が動くといわれますが、日経平均株価の推移を参考にすれば、今後の不動産価格の動向も見通せると考えられます。

今後の不動産価格はどうなる?

日経平均株価が上がっていることをふまえると、このまま株価が好調であれば不動産価格もしばらく上昇すると予想されます。

一般的に日経平均株価が上がることで、手元資金が増えて不動産を購入しようとする人が増えるので、不動産価格が上がるといわれています。この他にも、今後も不動産価格が上がるのではないかという心理的側面から需要が増えるという部分も大きいでしょう。「下がるのを待つ」という姿勢では、不動産を手に入れることは難しいでしょう。

しかし、不動産ならどこでも、どんな物件でも大丈夫というわけではありません。また価格が安いからお得な買い物だとはいえません。不動産価格が下落する要因には、人口減少や少子高齢化、金利上昇、景気の悪化などがあるからです。

不動産価格が下落する要因1:人口減

国立社会保障・人口問題研究所が発表した「日本の地域別将来推計人口(令和5年推計)」によれば、2050年の総人口は、2020年と比較して11県で30%以上減少するそうです。2050年の総人口は、東京都を除いたすべての道府県で2020年を下回ります。2020年を100とした場合、

東京都  102.5

千葉県   90.5

埼玉県   90.3

神奈川県  92.3

沖縄県   94.8

というように減少すると推計されています。

不動産価格が下落する要因2:少子高齢化

出生率が減少すれば、人口が減り不動産の需要が減る原因になります。厚生労働省は、2023年の出生数が前年の5.1%減の75万8631人だったと発表しました。想定より少子化が進んでいて、コロナ禍を経て人口減少が加速しています。また、2025年には日本人の3割が高齢者になるといわれています。相続などで空き家が増え、活用できない不動産の売却が進むと不動産価格が下がるといわれています。現役世代が減ることにより、税負担や社会保障費の増加で不動産に手が回らなくなる恐れがあります。

不動産価格が下落する要因3:金利の上昇

不動産は高額であるため、住宅購入や投資を行うにはローンの活用が不可欠です。金利が低ければ不動産の購入者にとって買いやすい状況になります。しかし、金利が上昇することによって返済が厳しくなります。また購入できる金額が下がるなど、不動産の購入にとって不利に働きます。全体的に不動産の購入の件数が減れば、不動産価格の下落につながります。

不動産価格が下落する要因4:景気の悪化

景気の悪化も不動産価格に影響を与えます。特に想定外の出来事は、パニックに陥り暴落に拍車をかけることになります。2008年に起きたリーマンショックは米国での出来事を発端として、世界中に広がりました。このような世界的な金融危機では、大手の投資会社や保険会社が破綻し不安が広がり、売りが売りを呼ぶ状態になりました。

また株価がピークアウトして下落していくときには、投資家のリスク回避の意識が高まり消極的になります。不動産投資は大きな資本を必要とすることもあり、株価の下落や景気の悪化によって、心理的にも早く売っておきたいと思う人が増えてきます。不動産は固有性が強いため、景気が悪くなってからでは、売りたいときに購入してくれる人がなかなか現れないことが多くなります。そのため大幅な値引きをして売買する結果になります。

と、ここまで不動産価格の下落要因を見てきましたが、足元の都内の不動産需要は旺盛です。

不動産価格は上昇を続けています。東京都は将来的に人口減少の影響を受けにくく、仕事を求めて移住する人も多い環境にあります。また利便性に優れていることも影響し、東京の一極集中が進んでいます。

不動産投資する場合のスタンス

不動産価格が下落する要因でも触れた通り、金融政策により引き締めが行われると、今後不動産価格が全体的に下落していく可能性があります。不動産の購入をしたい人にとっては、価格が下がりにくい物件を選ぶ必要があります。

東京においてもエリアを絞る必要性があります。たとえば、上場企業が集中しているエリア(千代田区・港区・中央区)やそのエリアに電車で30分以内に行けるエリアなどは将来性が期待できます。また今後、再開発が計画されているエリアもあるので、将来的な情報にも気を配っておきましょう。安全で暮らしやすい環境で、駅から徒歩10分圏内ならベストです。

また、日本の人口は減少傾向にありますが、東京都は増える予測がされています。東京都の統計によれば、今後も単独世帯は増加傾向にあり、2015年にくらべて2040年には16.8%増加し、世帯の半数以上が単独世帯になると予測されています。今後も需要が見込まれるワンルームマンションを投資対象として選定しておけば、低リスクで運用しやすいといえます。

池田幸代  株式会社ブリエ 代表取締役

証券会社に勤務後、結婚。長年の土地問題を解決したいという思いから、宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー(AFP)を取得。不動産賃貸業経営。「お客様の夢と希望とともに」をキャッチフレーズに2016年に会社設立。福岡を中心に活動中。FP Cafe登録パートナー

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